FOODxEDGE

FOODxEDGE ALL NEEDS DELICIOUS FOOD

いいアイデアはいい食事から生まれる。
HARD CORE DUDEメンバーが中心となり、関西アンダーグラウンドシーンのミュージシャンが集う美食会 。

たまに行くならこんな店

 

テキスト

孤独のグルメGIG

U・K 高井田本店

〒577-0067 大阪府東大阪市高井田西5-4-30 TEL06-6783-1539 http://ukcafe.net/

ギルバートオルティガスパゲティー(チキン)¥950

河合カズキラングレー(UltraFuckers, HardCoreDude, AmericanBadBoy)http://centralscum.lostfrog.net/

 

ある時期、大阪の最下層シーンにおいて、連日喧嘩・いさかい・仲違いが絶えぬことがあった。バンド間はもとよりバンド内でもモメまくり、解散・休止・分裂を繰り返し、イベントのブッキングもままならず、シーン自体が疲弊していくのが目に見えるようであった。その原因は何であったのか。誰もが望まぬ戦いの日々、かつてアストラギウス銀河を二分した百年戦争にも思える焦燥の日々。その原因は何であったのか。

私アメリカンバッドボーイが大阪へ来日したのはそんな時期であった。あの輝ける大阪最下層シーンが直面する現実。なんとかせねばと思い、ひとりで数多くのライブを渡り歩きひとつの結論を得た。答えは単純、すべて「餃子」のせいである。

打ち上げは常に餃子。今日も明日も昨日もおとといも、きっと1週間後も餃子。人数分の餃子、そして生ビールという名の生発泡酒。もちろん餃子自体に罪はない。むしろうまい。しかし連日の餃子は少しづつ胃腸にダメージを与え、さらに酔いきれぬ発泡酒により議論はあらぬ方向へ飛躍、そしていさかいへと発展していたのである。

「ちょいと待ちな」

当然のように餃子屋へと足を運ぼうとする彼らに私は声をかけた。

「えっ、どうしたんですかアメリカンバッドボーイさん」

「お前たちは今日も餃子を食うっていうのか」

「だってこの時間だと餃子屋しか空いてないんですよ」

たしかに時間は23時近くになっている。

「それに餃子倶楽部の会員ですから、5%も安くなるんですよ」

餃子倶楽部とは約2ヶ月間に10,000円以上餃子を食った者のみが勝ち取る栄誉である(ちなみに餃子は1人前200円である)。しかしそれは餃子に隷属した証と呼べないこともない。見えない鎖を断ち切らねばならぬ。

「打ち上げってのはな、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ」

「なにをわけのわからないことを言ってやがる」

血気盛んな若手バンドのリーダーが食って掛かってきた。

「今日はうちのバンドの打ち上げだ。餃子が食えねえと云うなら出ていけ!」

 

――打ち上げに行く前からいさかいが起こってしまった。ひとり楽屋にとり残された。やりきれぬ思いを胸に私は愛車轟天号にまたがり、高井田のU・Kへと足を伸ばした。

「このギルバートオルティガスパゲティーをひとつください」

まいったなぁ、こんなはずでは…。期せずしてひとりメシとなってしまった悲しさとシーンから孤立したかのような悔しさが思わずこみあがる。餃子…黙って食っとくべきだったか…。

「おまたせしました!」

ドンッとテーブルに皿が置かれる。

★ギルバートオルティガスパゲティー(チキン)

“べたっとした赤色のサルサソース””大量の鶏肉と豆””直径30センチの皿に山盛りのパスタ””ガーリックトースト付き”

「うん このボリュームはまさにアメリカンパワーフードだ」

はふ、はふ。休みなくスパゲティーを口に運び続ける。

額ににじむ汗、汗、汗!うおォン、私はまるで人間火力発電所だ。

 

「あっアメリカンバッドボーイさんじゃないですか」

振り向くとさっきのとは別のライブハウスに出演していたバンドマンたちだった。

「いえね、東京のバンドがこのまま車で帰るって云うンで、帰る前に寄って行こうってなったンですよ」

「ここ、いっしょに食っていいですか」

「スイマセーンッ、俺スージーヤージーひとつ!」

――うまいメシはうまい議論を生む。大阪最下層シーンをひとつにまとめることになるFOODxEDGEというムーブメントが彼らと共に立ち上がるのは、この少し後のことである。

(初出:Less Than TV フリーペーパー)

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